FX(外国為替証拠金取引)の大きな特徴の一つに「レバレッジ」があります。
レバレッジとは、手持ちの自己資金以上の金額を使って投資できる、証拠金取引ならではの仕組みです。
例えば、手持ち資金10万円に対して、25倍のレバレッジをかけると250万円分の通貨を売買できるようになります。
「10万円しか持っていないのに250万円?!」と驚く人も多いと思いますが、そもそも為替レートは株式などと比較して値動きが小さいので、レバレッジをかけることで、適切な利益を得られると共に、自分でリスクコントロールすることが可能となります。
また、多くのFX業者は1万通貨単位でしか注文を受け付けていません。
1万通貨=1万ドルということですから、1ドル=100円で計算すると、実は1万ドル=100万円が必要になるのです。
しかし、FXをはじめるために最初に100万円を用意するのは簡単ではありません。
そこで、最初に5万円程度を用意して、20倍のレバレッジをかければ1万通貨(100万円相当)のトレードができるようになります。(最も、最近は1,000通貨から取引できる業者も増えましたが…)
メリットとデメリット
レバレッジのメリットは3つあります。
- 利益を増大できる
- 自分自信でリスクコントロールができる
- 借金と違って金利や利息は一切かからない
逆にデメリットは一つです。
- 利益が増大する分、損失も増大する
レバレッジはかけ過ぎると損失を拡大させてしまう要因になりますが、適切な倍率をかけることでFXならではのメリットを享受できます。
いくらレバレッジをかけても金利や利息は一切かからないと聞けば、不動産投資や会社経営で借り入れを行なっている人、そして住宅ローンを抱えている人からすれば、この上ないメリットだと言うでしょう。
自分でリスクコントロールできる
個人的にレバレッジの大きなメリットとして感じるのは、自分自身でリスクコントロールができることです。
FXでハイリスクハイリターンを狙いたい場合は、大きくレバレッジを使います。
逆、ローリスクローリターンでじっくりやりたい人であれば、レバレッジは抑えめにして取引すればOKです。
このように、個人個人の方針にあったリスク・リターンで運用できるのは大きなメリットの一つと言えるでしょう。
レバレッジの計算方法
FXのレバレッジの計算方法は以下のとおりです。
レバレッジ=(為替レート×取引数量)÷ 有効証拠金(口座への預入資金の時価)
例をあげて解説します。
1ドル=100円の時に米ドルを3万通貨買った場合。
①為替レート:100円、取引数量:3万通貨
100 × 30,000 = 3,000,000
②現在の口座残高の時価が18万円(有効証拠金)
180,000円
①と②を割って、
3,000,000 ÷ 180,000 =16.66倍のレバレッジ
となります。
適切なレバレッジ倍率とは?
FXでは、最大25倍のレバレッジをかけることができますが、実際に25倍のレバレッジをかけると、儲けも大きいですが、少し為替レートが下がっただけで、あっという間に大きく損失が出てしまいます。
デイトレードなどの短期取引をする場合は、1取引の時間軸が短いことや、少しの値幅で小さい利益を積み上げる手法になるので、「レバレッジは15倍~25倍」でも問題ありません。
ただし、シビアなリスク管理が求められることは言うまでもありません。
逆に、リスクを小さく安定したレバレッジで取引したい場合は、「5倍以下」が理想です。
2倍、3倍程度のレバレッジ倍率に抑えておけばより安全です。
また、FXには「レバレッジ1倍」というものがあります。
これはレバレッジをかけない、いわゆる外貨預金とまったく同じになるので、為替変動による資産の増加、目減りはあるものの、ロスカットされて購入した外貨が強制決済されることがない、もっとも安全な運用方法です。
豆知識
その他、レバレッジについて覚えておくと良いことをまとめました。
レバレッジは一般的にも使われる言葉
「レバレッジ」という言葉は、不動産投資や経営にも使われます。
不動産投資の場合、多くの場合は銀行から借り入れを行なって物件を買うので、「レバレッジをかけて物件を購入した」などと言います。
経営においても「レバレッジド・バイアウト」と言われ、小さな会社が銀行などから借り入れを行い、資金力をパワーアップさせて自社よりも大きな会社を買収する時に使われる言葉です。
何れにしても「借り入れ」によって資金力をアップさせています。
FXのレバレッジも広い意味では「借り入れ」と言えますが、利用用途がFXの取引に限られていることや、金利・利息といったものは一切発生しないので、一般的な借金とはまったく違うものです。
規制の歴史とFX法人口座
FXにおけるレバレッジは、2010年まで規制などの制限が一切ありませんでした。
なので、レバレッジ100倍は当たり前、FX業者によっては400倍や600倍のレバレッジが使えるところもありました。
レバレッジは、大きく使うほど利益も増えるので、一夜にして億万長者が誕生することがある一方、たったの1日で全財産を失ってしまうなど、FX市場から退場する人もたくさんいました。
そこで、金融庁が2010年8月から「レバレッジ規制」に乗り出し、FXをより安全な投資商品にする方向性を打ち出しました。
2010年8月には、それまで規制がなかったレバレッジは最大50倍(証拠金が取引額の2%以上)にまで制限され、その翌年である2011年8月には最大25倍(証拠金が取引額の4%以上)に制限されました。
よって、現在はFX業者によってレバレッジに違いはなく、「FXはどの業者を選んでも最大レバレッジは25倍まで」と決まっています。
今後さらに規制が進むのではないか?という疑問もあるかもしれませんが、その可能性は低いです。
なぜなら、同じくレバレッジを使った商品に「日経225先物・オプション」がありますが、この昔から存在している投資商品は当初からレバレッジ20倍のまま変更されていないからです。
また、FX法人口座においてはレバレッジ規制は対象外です。
法人口座の場合は、現在ほとんどの業者で200倍程度のレバレッジがかけられます。
この規制は日本国内で適用されているものなので、海外のFX業者で取引すれば、レバレッジ規制はかかりません。
しかし、現実には海外のFX業者はトラブルも多く、一度入金したお金を出金できないなどのトラブルも少なくないので、おすすめはしません。